職場でアトリエとして 借りている部屋がある アトリエにいることが 誰よりも多い私 その部屋の 目の前には銭湯があります 二階のアトリエの窓を 全開にしてると、 夕方からシャンプーの香りが風に乗ってきます どこか懐かしくて ほっとする 銭湯の一番風呂目当てにくる 常連さんの顔もほとんどわかる私(笑) その中に個人的に 大好きなおじいちゃんがいます 毎日 決まった時間 決まった洋服 青いチェックのパジャマを着て 先がとんがったピカピカの 黒い革靴を履き 黒い薄手の紳士用靴下に チェックのパジャマズボンをしっかりとイン 杖をつき、ゆっくりゆっくり 銭湯へ通うのです 冬にはパジャマの上に 青いチャンチャンコ 二階からそのおじいちゃんを見下ろしながら 日々、癒されてた私 なので実際に道で すれ違うことは年に2、3回 そして4、5日前に 奇跡的に、年に何回かの おじいちゃんとすれ違う場面に出会った でもいつも歩くことに一生懸命だから 周りのことに目もくれず 一点を見つめ杖をついている そのおじいちゃん、 ピタッと立ち止まり、 柿の木を切っていた近所の人に話しかけた 「それは実がならんのか?」 初めて聞いた声は お年のわりにすごく力強くて よく通る声だった 内心驚きながら すれ違おうとしたとき。。。 おじいちゃんは 私をじっと見て 満面の笑みを浮かべている 私が目を反らすまで ずっと、ずっと あまりにもまっすぐな 愛らしい、無垢な笑顔に 面食らいながらも 私も精いっぱい微笑み返した なんていうか… 人ってあんなに 幸せいっぱいな笑顔が 出来るんだっていうくらい そしてその3日後… 職場のスタッフから聞く 「○家のおじいちゃん 亡くなったって 朝起こしにいったら 息をひきとっていたらしいよ 大往生だって 身内の方が話してたよ 」 そう、 あのおじいちゃんが 亡くなったのです 私はその話を聞いた瞬間 あの愛らしい笑顔がすぐに浮かんだ 信じられなかった だって亡くなる前日も いつものように銭湯へ 通っていたから そしてあの日 微笑みあったことを 考えずにはいられなかった 何か意味があるのか ないのか 正直わからない だけど私にとって おじいちゃんとは 最初で最後のご挨拶だったことは確か それだけだけど それだけじゃない 一瞬のすれ違いから たくさんのものを感じた それは悲しいものでなく 温かい、幸せなもの 私なりのお別れが 出来たんだ、きっと。。。 目には見えない想いが 先回りして、繋いでくれたのかもしれない だから私は 「さよなら」 じゃなく おじいちゃんに 「ありがとう」って、伝えたい そして今日も 二階の窓から見える銭湯からは いつもの香りが風に運ばれ いつもの常連さん達が通っている 変わったようで 変わらない風景がそこにある だけど、あの愛らしい笑顔は ずっと、ずっと、忘れないと思う
by souldrops
| 2009-07-04 23:17
| life
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